最終更新日:2022年2月18日
FIP制度とは

毎年、どんどん変わっていく太陽光発電にまつわる法改正。
忙しいオーナーの皆様にとって、新鮮な情報は不可欠ですよね。

2022年4月から導入される「FIP制度」について、情報を耳にされた方も多いのではないでしょうか。
これまでは、再エネ発電事業者は、FIT制度により売電価格は固定価格で買い取ってもらっていました。
今後は、再エネ発電事業者は「FIP制度」の導入の開始により、これまでの「FIT制度」か、新しくできた「FIP制度」どちらかを選べるようになります。

今回は、「FIP制度」とはなにか。
FIT制度との違いやFIP制度を選択するメリットとデメリットをわかりやすくご説明します。

1. FIP制度とは

FIP制度とはどういった制度なんでしょうか。
FIP制度とは「フィードインプレミアム(Feed-in Premium)」の略称で、再生可能エネルギー(以下 再エネ)の導入を促進するための制度です。
この制度は再エネの導入が進む欧州などではすでに取り入れられています。

FIP制度には種類が類あり、「プレミアム固定型」「プレミアム固定型(上限・下限つき)」「プレミアム変動型」の3種類があります。
日本ではドイツやフランス、オランダなどで採用されている「プレミアム固定型」FIP制度になる予定です。
以下、説明するFIP制度は「プレミアム固定型FIP制度」をベースに説明していきます。

FIP制度では、FIT制度のように固定価格で売電するのではなく、 再エネ発電事業者が卸電力市場で売電するとき、その相対の売電価格に対して一定のプレミアム(補助額)を上乗せ することで、発電事業者の売電における事業リスクを軽減する処置がとられます。
どのタイミングでどのくらい売るかを工夫することで発電事業者は収益を上げることができます。
2022年4月からは新しく、FIT制度かFIP制度のどちらを導入するか選択することができ、 現在FIT制度を導入している発電事業者も、「FIP制度に切り替える」という選択をすることができます。

2. FITの課題とFIP制度ができた理由

再エネ発電をおこなう事業者を増やし、導入を拡大することを目的に、発電所で発電した電気(再エネ電気)をあらかじめ決められた価格で買い取るよう、電力会社に義務付けたFIT制度によって、再エネは急速に拡大しました。

しかし、FIT制度導入によりさまざまな課題も出てきました。
主な課題としては下記の2点があげられます。

2-1. 再エネ賦課金による電気代の負担

電気をご利用の国民(需要家)のみなさんに負担いただく「再エネ賦課金」です。
電力会社が再エネ電気を買い取ったコストは、電気料金に上乗せされるかたちで国民のみなさんが負担しており、その負担金は2021年度の見込みでは総額2.7兆円に達しています。
今後、再エネの導入をさらに進めていくにあたって、この負担はできるだけ抑えていかなければならないと考えられるようになりました。

2-2. FIT電源の自立化

FITは、電気の使用者のニーズや競争によって価格が決まる電力市場からは切り離された制度です。
再エネ発電事業者はいつ発電しても同じ金額で買い取ってもらえるため、電気の需要と供給のバランスを意識する必要はありませんでした。

しかし、今後再エネを主力電源としていくためには、 需要と供給のバランスなど電力市場の状況を踏まえた発電をおこない、火力などほかの電源と同じように、自立した電源にしていく必要がある と考えられるようになりました。

そこで2020年6月、 再エネを電力市場へ統合するための段階的な措置 として、 2022年4月より電力市場の価格と連動した発電をうながす FIP制度 」を導入することが決まりました。

3. FIT制度とFIP制度の違い

2012年にはじまったFIT制度(固定価格買取制度)では、発電所から作られた電気はすべて電力会社が買い取ります。
買い取り価格は国が毎年定め、20年間、同じ価格で買い取ってもらえます。
国がFIT単価を決めることでコストに見合った発電収入が確保されてきました。

FIP制度では、卸電力取引市場(JPEX)の市場価格を軸に、更に発電された電力にプレミアム額をプラスし、売電単価を決めることで、発電収入を得ることができます。

つまり、FIT制度とFIP制度の違いは、 FIT制度はいつ売電しても売電価格は一定でしたが、FIPは需要の高い(市場価格が高い)時に売電することで、収益を拡大することが可能である ということです。

FIT制度とFIP制度のしくみ
図:FIT制度とFIP制度のしくみ

3-1. FIP単価の公式

FIP制度により、発電した電気を売るFIP単価を決めるのは以下の公式となります。

FIP単価 = 市場単価 + [ 基準価格(固定) - { 前年度年間平均価格 + (当年度月間平均-前年度月間平均) + 非化石価値市場収入 - バランシングコスト(固定) }]

ちょっと意味がわかりませんよね。今からこの公式を紐解いていけたらと思います。

3-2. フィードインプレミアムのプレミアムとは

そもそも「プレミアム」とはなんなのでしょうか。
具体的にどの部分なのか、順番に説明していきましょう。

FIP制度の仕組みとして、後に詳しく解説していきますが、 一言で言えば、FIP開始年度に決められた「基準価格(FIP価格)」から、市場価格から算出される「参照価格(想定市場売価)」を引いた分をプレミアムと呼んでいます。

要するに、 期待されている「基準価格」に満たない分を補う価格を補助する、この補助金の部分を プレミアム単価 」と呼んでいるのです。

3-3. 発電事業者の収入

それでは、発電事業者にとってどの部分が収入価格となるのでしょうか。
先にご案内した通り、 「基準価格」と「参照価格」の差を、「プレミアム」 としています。
これに合わせて 実際に電気を売った価格 を収入として受け取ることになります。 市場収入+プレミアム=収入価格 となります。

ただし、プレミアムは、参照価格の変動などによって変わってくるため、毎月1カ月ごとに設定されます。

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監修

エネワールド株式会社 お客様サポート部 岸上朋子
エネワールド株式会社 お客様サポート部
岸上朋子

太陽光オーナー様のための、業界全体に切り込む巨大コミュニティになることを使命として、「REX」を運営しています。
入社以来、大規模太陽光発電所や、移り変わる法改正について学んできました。

日々、日本全国のオーナー様と太陽光についてお話させていただく過程で、地方ごとに悩みも要望も全く異なることを知り、各オーナー様に合ったサポートが必要だと感じております。

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